うみのそこ

いろいろつらつら

ミュージカル「INTERVIEW〜お願い、誰か僕を助けて〜」RED&BLUE比較感想考察

INTERVIEW〜お願い、誰か僕を助けて〜
大千秋楽おめでとうございました

本当に素晴らしい素敵な空間に立ち会えたこととてもうれしく思います。
日本初演を、このマットという難しい男を推しが演じてくれたこと、
推しに宛がってくれたことに対して最大の感謝を…。


前回ネタバレ含むストーリー解説をしてます

uni-ku.hatenablog.com


ストーリのおさらいは
よろしければこちらをご覧ください

今回1万字超えてるのでお暇なときにどうぞ…



【気になった相違点】

演出面とか曲名は正規のもあるけどあとは適当につけてます
BLUEたくさん見た割に、RED2回しか見ていないので覚えている限りになります…。

<僕の中の怪物>(一人考え~の歌詞のところ)
RED・松本ユジンのみが机越しに糸川マットに手を差し伸べるのみ
BLUE・小野塚マットと丘山ユジンが机を挟みながらユニゾンでこめかみ付近に手を添える振り


<子守歌の手遊び含む遊ぶシーン>
RED・曲の歌詞に合わせた振り付け(手をとりのように羽ばたかせたり)。部屋で追いかけっこをしたり、隠れてみせたりする
BLUEアルプス一万尺のような振り付け。椅子にウッディを乗せてぐるぐると回ったり走り出したりする


<素敵なレディ>
RED・机に向かい合って座って、一緒に歌詞通りお茶会(とてもなごやか)
BLUE・定規を持ったジョアンが歌詞通りにマットを「教育」する振り付け


<アンとウッディ>
RED・絵をビリビリに破く、両手で交互に頬を叩くと殴る
BLUE・絵を見せつける様にゆっくりと破く、利き手で思い切り叩く


<アンとジョアンのシーン>
REDジョアンに対しての<嫌い・恐怖>という感情が強かった印象
BLUEジョアンへの<恐怖・怯え>が強く、震えてユジンを盾にしたりする


ジョアンの歌から絞め殺すまでのシーン>
RED・糸川マットはジョアンに手を出せずに、それをぶつけるかのように椅子や本を投げたり叩きつけたりと暴れまわる
BLUE・小野塚マットは、ジョアンと踊ったり抱きかかえて回ったり、椅子に座らせて投げ出したり「おもちゃ」のように弄んでいる


ジョアンの殺害シーン>
RED・机に上がり座ったまま同じ目線でジョアンを見つめ首を締め続け苦しそうな表情で最後の最後に立ち上がり締め上げる。息絶えたジョアンを抱きしめようとするが、そのままジョアンの体が崩れ落ち抱きしめることができず腕が空を切る
BLUE・机に上がり徐々に立ち上がりながらジョアンの首を絞め、高い位置で締め上げる。息絶えたジョアンがマットの胸に倒れこみうれしそうな顔でぎゅっと抱きしめるも徐々にジョアンが崩れ落ち、腕の中が空になる


ジョアンの退場シーン>
RED・松本ユジンが抱き起し、階段まで連れて行きジョアンが一人で光の道へと歩いて行く。糸川マットは一人で光へ歩いて行くジョアンの姿を最後までずっと見続けている
BLUE・丘山ユジンが自らのジャケットを掛けて、抱きかかえ一緒に光の道へと消えていく。小野塚マットは光へ消えていく姿を最後に一瞬だけ見る


<放火シーン>
RED・退場シーンでジョアンの遺体を眺めているシーンが長く、ジョアン退場後にすぐ放火のシーンへと移る。タバコに火をつけ一服後に「どうでもいい」というような顔でタバコをぽろりと床に落とす
BLUE・REDとは違いジョアンは結構すぐに退場。そのあとに一人で呆然としているシーンが長く、寝転がって自嘲したりと放火までに時間がある。タバコに火をつけ一服後に「どうにでもなれ!」というような顔で笑いながらタバコを投げる


<6回目の催眠療法の自殺シーン>
RED・糸川マットは鞄から取り出したノートの一頁を雑に破って遺書を書いてからペンで一思いに死のうとする。刺そうとした瞬間にジョアンが現れて手が止まり、ジョアンはマットを見つめ続ける。マットも目の前のジョアンを呆然と見つめていて手が動かないという感じ
BLUE・小野塚マットは鞄からノートを取り出して直接遺書を書いて丁寧に破いてからペンを首に突き付ける。するとジョアンの幻覚が現れて手をかざして、ダメだというように制してマットが首を刺そうとしていた手を止める


台本は同じはずで台詞も同じはずなのに役者の解釈と芝居で全然別物!
REDとBLUEので大きく違ったと思うのは、マットとジョアンの関係性。
対等のRED従属のBLUEだと私は思いました。
REDは伊波ジョアンと糸川マットの関係が対等に見えるんですよね。それこそウッディとアンのような双子に見えるほど。手遊びのシーン付近が顕著なのですが、ジョアンと一緒に遊ぶシーンも一緒に楽しむといった様子でBLUEに比べて和やか。
一方BLUEの山口ジョアンと小野塚マットは明らかにマットはジョアンの支配下でした。遊ぶシーンもジョアンの思う通りに動かなければならない。
言いつけを破ったマットにジョアンが「もう遊ばない!」と言う台詞も
REDは伊波ジョアンが拗ねた子供のようにプイっと怒って居なくなってしまうのに対して、BLUEの山口ジョアンはスッとさめたわ…というような顔で冷たく言い捨ててその場を後にします。マジでRED見てからBLUE見た日は山口ジョアンの怖さに鳥肌立ちましたもんね。

またTwitterREDは《悲恋》で、BLUEは《悲劇》だと感じたと書いたのですがそれに上記の関係性も若干掛かってきます。

REDは冒頭のアナベルリーの朗読シーンで糸川マットの伊波ジョアンへ向ける眼差しが姉に向けるものとしては違和感があったんですよね。あまりにも「色」を持ちすぎていて。関係が対等であったからこその違和感。そして次にジョアンの話(私出てくわ~の歌)、ここで家を出るといわれた瞬間になんでという驚愕から泣きそうに顔が歪むんですよね……。そして触れる手の切ない事よ……。この段階で、あぁきっと糸川マットにとってのジョアンは愛する女性だったんだなと。
BLUEしか見てない方は驚きかと思うんですけど、REDの伊波ジョアンは糸川マットに対して愛情があるんですよ…!!ただそれは唯一の家族、虐待されていた被害者仲間としての愛で。
そしてジョアンを殺害してしまうまでの行動。糸川マットはジョアンに手を出せないんですよ、その代わりに椅子や本を投げ散らかす。それは一緒に虐待に耐えてきた対等な存在だから、大好きな人だから彼女に直接当たることができないんだとすごく切なくなりました。REDは目も当てられない位部屋がめちゃくちゃになるんですけど彼の心象風景なんだなぁ…きっと。
殺害シーンも座り込んだまま彼女の首を絞め続ける姿が<同じ目線に居たい>という彼の心の表れだったのかなと思いました。そして息絶えたジョアンが崩れ落ち空を切る腕。ここがBLUEとは本当に対照的で。糸川マットは今までは形は違えど与えられていた愛を失ってしまったから抱き締められずに腕は空を切る。そしてそのあとに崩れ落ちたジョアンを見つめるんですよ…。ここで堪らね―――ッ!なりましたマジ。彼は自分がジョアンを殺してしまった事に唖然としてるんですね…。唯一だった大切な物を自ら壊してしまった事に絶望した糸川マットは、煙草に火をつけその場にもう全て無くなってしまえばいいんだ…とポロリと落とす。
そして最後、ペンで首を刺そうとする糸川マット止めに来るジョアン。
自殺しようとする糸川マットの前に現れたジョアンは見つめるのみ、でもマットは目の前のジョアンを見るだけで手が動かなくなってしまう。そしてジョアンはそっと笑んで手元からペンを預かる。伊波ジョアンのその姿が弟を案じている姉の様で、めちゃくちゃ切ない。「私の小さな愛がある」と彼女が歌うように彼女なりにマットを愛していたんですよねきっと。求める愛と与えられる愛のすれ違いの結果生まれた怪物が糸川マットだったのではないかと個人的には感じました。REDしんどい。

そしてBLUEなのですがこれは間違いなく悲劇のお話でしたね…。アナベルリーの朗読。この時の小野塚マットは目が結構虚無なんですよ、糸川マットと比べたら。ジョアンの幻覚をぼうっと見つめているという雰囲気。そしてジョアンの話(私出てくわ~の歌)ここの小野マットはずっとジョアンの後をついて回り、「ぼくをおいていくの…なんで…?」と理解が追い付かないという子供みたいな目でずっとジョアンを見つめているんですよね。小野塚マットにとってのジョアンは居場所であり存在意義だったのだと思いました。
ジョアン殺害までの行動がこちらは、自分をおもちゃだと言った姉を振り回したり無理矢理ダンスさせたりとまるで言葉通り今まで自分がされてきた扱いを返すかのように笑いながら「おもちゃ」として雑に扱う。
殺害シーンは机にジョアンを上げ、同時に立ち上がりながら絞め殺すという感じなのですが、ここの姿が小野塚マットは弱い子供でなく力のある加害者に見えるのが…とてもつらい。そして息絶えたジョアンが一度胸に収まり、ぎゅっと抱き締めることが出来るんですけどその瞬間小野塚マットはおもちゃを手に入れた子供のような嬉しそうな顔をするんですよ――。ここの顔が本当に悲しくて…。でも正しくない手段で得たものは消え去ってしまう訳で、胸の中のジョアンは力が抜けずるずると小野塚マットの足元に崩れ落ちていく。この時小野塚マットはジョアンを殺めた自分の手を見つめ震えるんですよ。ジョアンを殺してしまったでなく、自分は人を殺してしまったのだと。小野塚マットは自分を虐げていた義父や母そしてジョアンとも同じ加害側になってしまった自分に、自らの手で己の存在意義を壊してしまったことに絶望しているように見えました。そして煙草に火をつけた彼は笑いながら煙草を放り投げるんですよね、どうにでもなってしまえ!と言うように。
最後の自殺シーン、首にペンを当てた彼の前に現れたジョアンは前に手をかざして止めるジェスチャーをするんです。そしてそのジェスチャーと共にマットの手が止まる。でも山口ジョアンは正直止めなそうだな…と作品を通して見ているとおもうんですよね。だからこれは死んだ方が楽になれるが生きていたいという小野塚マットの気持ちの表れが、ジョアン=自らの存在意義であったものの幻覚を見せたのかな…と。
虐待や劣悪な家庭環境、愛への渇望が一人の怪物小野塚マットを生んでしまったんだと…マジでつらくなる。BLUEキツイ。

『INTERVIEW〜お願い、誰か僕を助けて〜』
  SHINDOI RED / KITUI BLUE 

って感じでした。個人的には。

 

【役ごとの感想】

<シンクレア・ゴードン/マット・シニア>
24歳の利発な青年、小説が好き。
好きな作家はエドガー・アラン・ポー。タバコもコーヒーも苦手。
大学の時教育実習生経験あり、カフェでバイトをしていた。
彼は少し夢みがちな語り口で小説を書くことは一種のテレパシーだと語った。実際は姉のジョアン・シニアを殺した恋人であり容疑者のシンクレア・ゴードンを探すために、14歳からの10年間自らの名前を捨てシンクレアとして生きてきた本名マット・シニアという青年。
その為に大学に進んでシンクレアと同じく教育実習にまで行っていて、本物のシンクレアをトレースする事がマットの生活を有る程度豊かにしてきたのは本当に皮肉だなぁと。
別の人物たちが出てくるので冒頭や回想部分とマットであるシーンはかなり少ないんだけど違いが出やすいのはアナベルリーの朗読と「ジョアンの話(私出ていくわ〜のナンバー)」

RED:糸川マット
登場の糸川マットはまさに利発な好青年という様子。不思議ちゃん感はあまりなく、小野塚マットより少しだけ軽薄さを感じる。マジメ系だけど人付き合いのいい大学生!って感じ。
小野塚マットの青にを先に見たのですごく驚いたんですけど、糸川マットは冒頭のジョアンとのアナベルリーの朗読のシーンあたりから瞳があまりにも辛そうで、求めるような目をしていてこちらまで辛くなった。ジョアンの話では嘘だ…というような表情から、今にも泣き出してきまいそうに顔が歪んで行く。そして身体を重ねるシーン。残念ながら糸川マットは角度的に表情がしっかりと見えなかったんだけど、ジョアンに触れる手の動きだったりが壊れ物を扱うようで…そのあとのシーンを考えるとつらかったですね…。
糸川マットにとってのジョアンは大好きな姉であり、母親変わりであり、一番愛する女性。

BLUE:小野塚マット
登場の小野塚マットは声のトーンが高く不思議ちゃん感が少し強め。推理小説オタク感が若干ある。大学であいついい奴だよな!って言われるけどそれ以下でも以上でもないってタイプ。
小野塚マットとジョアンの幻覚とのアナベルリー朗読。大切な物を見つめる真剣な瞳からどこか懐かしむような切ない瞳に変わって行く印象を個人的に受けました。ジョアンの話では、私出てくわと言われた瞬間に唖然として、幼い子供みたいな縋るような表情を浮かべるんですよね。
身体を重ねるシーンでは、戸惑いの表情を携えつつも机に上がりジョアン先導で彼女が求める通りに動く。マットの感情が出るのは行為の最後に抱き締める瞬間。自分も求めていいのかな…と戸惑いながらもぎゅっと抱き締める腕が……。ほんとにしんどい。
小野塚マットにとってのジョアンは唯一の家族であった何よりも大切な存在で居場所、存在意義。



<ジミー>
乱暴者で口の悪いの彼。
義父に対抗する為に生まれた人間。それゆえに義父を若干トレースしてしまい、タバコも酒もするチンピラのような人物。彼が出てきた時にユジンのタバコを奪い取り「まだこんな安物吸ってるやついんのか」というシーンから察するにそのタバコは過去に義父が吸っていた名柄、それを不味いと捨てると言うことは義父がトレース元ではあるが、マットの中で作り上げられた全く別の存在なのでしょう。
彼の担当は怒りや攻撃。劇中に「マットというアパートみたいなものに家賃を払って住んでる、それで俺が皆から家賃を取り立ててる」なんていうセリフがありましたが、ジミーも例外ではないのでは?と思ってます。
きっとジミーからマットへの家賃は怒りの感情を引き受けること。マットの耐えられない怒りをジミーが肩代わりしマットが生きやすいようにコントロールする。またユジンとの攻防中にマットが倒れ、ジミーが出てきたことや「これで5回目か」というジミーのセリフから何かあった時に矢面に立つ=出ている時間が長いのがジミーであると推測できます。
そしてジミーを構成するもうひとつ、ジョアンへの愛。
恐らくジョアンへの異性としての愛や、姉弟での性行為等のマットが抱えきれなくなった記憶を引き受けるのも彼の役割だったのでしょう。
人格ごとにジョアンの幻覚との対峙があるのですが、ジミーの目の前には《可憐なジョアン》の幻覚が現れ彼はしばらく目を離せないと言った様子で彼女の幻覚を追いかけるんですよ。その目といったらもう…。
そしてジョアンに近づいた瞬間に「あんたマットじゃない誰」と拒絶される。その時の切ない壊れそうな目と「みんなマットマットってよ」と自分をジミーとして認識してくれる事はないという苛立ち。ジョアンの憎む義父をトレースしてできたジミーが1人の人間としてジョアンを愛しているのがめちゃくちゃに辛い。この世の地獄。誰かジミーを愛して…。

RED:糸川ジミー
糸川ジミーちょっとチャラい!!ユジン先生を小馬鹿にしたような態度を常に取っていて、ヘラヘラしているといった印象を受けました。
それと何より、伊波ジョアンの事がものすごく好き。
糸川ジミーはジョアンとの距離感が近く、触れる際に顎クイするんですわ顎クイよ。
BLUEのエスコートしようとするだけの小野塚ジミーを先に見てたのでマジたまげました。めちゃくちゃにすきじゃん……。
糸川マットがジョアンの事を女性として見ていた故にそれがジミーにも強く反映されているんだろうなという感じでした。
ジョアンへの愛>>怒り、というようなジミー

BLUE:小野塚ジミー
小野塚ジミーはチンピラ感が強めですね。ユジン先生への態度が常に上からで横柄。山口ジョアンの事はもちろん好きなのですがとてもぶっきらぼうなんですよね……。少し距離を取りながら追いかけて、触れる際もエスコートをする様に片手を出す。これは主人格の小野塚マットが糸川マットほどジョアンに対しての恋愛感情を持っていなかった故に対女性としての振る舞いが希薄だったのかな?勝手に思ってました。
小野塚マットの中のジョアンは姉とか女性とか母親とかではなく世界すべてだったので…。
あとめちゃくちゃ小野塚ジミー暴れてたな…。「雨、雨、雨!ロンドンはいつも雨だ!くそッ、クソッ」ってところ、床が抜けるんじゃないかってくらい床を蹴りつけて地団駄踏んでて、しかも公演を追うごとに強くなるもんだからちょっと足の方が心配だった。

怒り>>ジョアンへの愛、というようなジミー



<ウッディ>
識字も出来ない小さな男の子の人格。最高にかわいい。左利き
お姉ちゃんが好き、お絵かきが好き、彼が天井を見ながら不吉なお絵かきをすると現実になるとアンが語ります(舞台上で書いている絵はまま、ないふ、ち)。冒頭の作り話で出てくるママをナイフで刺す子供の話の主人公であり、あの物語におけるノーネイムでもある。鏡に映った自分故に左利き…。
ここで出てくる天井。天井にまだ幼い子供が絵を書ける訳がないんですよね。幼い時に折檻の一環として狭い場所に閉じ込められていた事の暗示なのかな…と。ただREDの方では仰向けに寝転んで天井見ながら絵を書くシーンがあるので何とも言えねーーって感じです。

ウッディはマットが虐待を受けているのは自分ではなく別の可哀そうな男の子だったのだと、逃避、分離するための存在であり、それと同時にマットの友達でもある存在。おそらくマットの底にある深層心理があらわれている存在であるのかと。彼は逃避と肉体的な痛みが担当。
ウッディに関してはマジでずっと可愛いしか言えない病気の人間なので別の人の感想をみてくれ。
27才の成人男性が演じるショタからしか得られない栄養素をたくさん摂った最高の期間でした。


RED:糸川ウッディ
元気な男の子、糸川ウッディは良く笑うイメージがり、小野塚ウッディより若干おばかさん感が強く喋りがとてもたどたどしいんですよ…。でもなんか精神的には小野塚ウッディよりも落ち着いてるんですよね…。とても愛おしい…。松本ユジンにちょっと怯え気味。大人全般が怖い様子。
「ぼく、かん…じゃ…さん?なの」患者という単語も理解できていない様子でとてもいい。糸川ウッディは虐待のシーンで立ちながら耐えて折檻を受けているのが、我慢強い子なのかなと悲しくなってしまいました…。
精神年齢は高めだがIQ低そうなのが糸川ウッディ。

BLUE:小野塚ウッディ
少し内気な男の子。丘山ユジンに本当に最初こそ怯えているが、自分に危害を与えない大人だと分かった瞬間に丘山ユジンから興味が無くなるのが顕著。「ぼくかんじゃさんなの?(ひらがな)」こっちはこのくだりを滔々と話すので理解はできていそう。小野塚ウッディは殴られてその衝撃で倒れこみ、倒れこんでもなお殴られ続けていて吹っ飛んだりしててウワ…となる。痛められつけ方がエグいんて…。ただ多分これに関しては小野塚くんの殴り飛ばされる芝居がうますぎる(LDH体幹東映特撮の賜物)
精神年齢が低いがIQが少し高そうなのが小野塚ウッディ。
小野塚ウッディがマジで性癖すぎてその話しか今できないんですオタクくんは…。おっきいからだでまあるくなってお絵書きする姿あんなの保護しないとダメだって…。あと書いてる絵がへたくそ過ぎてマジで子どもでカワイイ……。お姉さんのおうちくるかい?おいしいお菓子いっぱいあるからね…。ウッディに会えなくなるの嫌すぎて千秋楽で20代成人女性なのに駄々こねてた。



<アン>
ウッディの双子の姉の人格。おませなロリ。最高にカワイイ。
27歳成人男性の演じるおませロリからしか得られない栄養素があることを今回の舞台で知りました。
アンはウッディやマットが考える理想の姉の姿が人格となって現れたものなのではないかと。理想の姉=自分を義父の性的虐待スケープゴートにしない優しい姉。義父からの性的虐待の際に自分の心を守るためにアンという人格を生み出してしまった。ウッディが肉体的な痛みが担当なのであれば、彼女は精神的な痛みの部分を担当しているんではないかと思いました。
そしてアンとジョアンの関係性。
ジョアンは自分を友達と呼びながらもスケープゴートにするし自分の言いなりにならなければ手を上げる。ジョアンは自分やウッディをおもちゃ扱いして危害を与える対象でしかなかったんだろうな…。そしてそもそもマットの人格の一つだから大好きな姉であるジョアンというフィルターが根底にあり、ジョアンに対して反撃することもできない。されるがままになるしかなかった。だからアンにとってはジョアンも義父と変わらず加害者であったのかなぁと。
あとアンの「私みたいに分別のあるカワイイ子」って台詞は積極的に使っていきたいなって思った所存。


RED:糸川アン

起き上がった際にスカートの裾を直すような身振りをするのがハチャメチャにカワイイ。
ワンピースを着ている姿が見えました。お洒落さんなんだろうな糸川アンは…。

小野塚アンに比べると糸川アンは精神年齢が低く感じました。ウッディの書いた絵を鏡の目の前でイラつきながら破り捨てる感じ。そしてジョアンに対して嫌悪の感情がすごく強くて…。嫌いだから近寄らないで欲しいしもう一切かかわりたくない、完全に拒絶しているようだなぁと。

BLUE:小野塚アン
起き上がった際に耳に髪の毛をかけるようなしぐさをするのがカワイイのと色っぽい。
きっとセミロングくらいなんだろうな…と無いはずの髪の毛が見えましたね~~。

小野塚アンは精神年齢が高いんですよね…そして鏡の前で見せつけて言い聞かせるように絵を破り捨てるんですよね。小野塚アンはヒステリーっぽいんですよね全体的にちょっと怖いんですよ…。それもやっぱり山口ジョアンを若干ではあるけどもトレースしているからなのかな…と。小野塚アンは常にジョアンに怯えて震えていて、マジ何されたのレベルに…。怯えっぷりが素晴らしかったですね…。



<ノーネイム>
マットの中の人格のスイッチャーで、マット本人が知らないことも知っている人格。名前はないからノーネイム。考えるのが一番難しいし、ノーネイムだけで何かが書けるくらい掘り下げようがあるんですよねこいつ。自分の中でも書きながら全然まとまってない!
ノーネイムはマットが生まれてすぐに「あんたなんか死んじゃえばいい」と言われたことから発現した、最古参の人格だと私は思っています。他の人格はジミー=義父、ウッディ=鏡に映る幼い自分、アン=ジョアのようにすべてトレース元があるんですよね。でも彼にはトレース元も名前すら無い。
それは彼もマット自身だからなのではないでしょうか。生まれてすぐに一番最初に自然発生したもう一人のマット自身、マットの防衛本能の具現化。自分を生かすために、あの家で生き抜くために生まれたもう一人の自分。自分自身の一部であるから特別に名前がない、ノーネイム。

それと同時にノーネイムはマットの辛かった思い出も幸せな思い出もすべて保管している記憶のプールのような存在でもある。故に、全ての人格のコントロールができる。唯一コントロールできない人格が自分自身であるマットなのかなーなんて。
・生き埋めにするぞと義父に脅された経験→シンクレアを埋める
・幼少期に死んじゃえばいい!と首を絞めたジョアンを同じように絞め殺す
・義父に叩かれてきた皮のベルトでユジンを殺害しようとする
マットやほかの人格たちが人を殺害してきた手口がすべて自分のされたことや自分を痛めつけてきたアイテムなのは、マット自身=ノーネイムが記憶しているから。
最後にユジンを殺害しようとしているときに歌うノーネイムの曲

ノーネイム 名前は (目を覚ませ マットだろ!)
唯の ノーネイム(病気なんだ 殺してはいけない)
マットを生かすため (本当の名前は)
マットのせいだ(目を覚ませ)
名前などない 名前などない

この歌の瞬間、マットとノーネイムは完全にリンクしていて一つの存在になっていたのでは?と思いました。
それに気が付いたユジンは「お前はマットだろ!」と必死に呼びかける。
ノーネイムは「マットを生かすため」にユジンを殺そうとする。あくまで汚い部分を受け持つのは自分の仕事だと。殺すのはマットでなく自分であると「名前などない」と叫ぶ。
全てを思い出したマットは「マット(=自分)のせいだ」と言い、すべてのカタを自分でつけようとする。そして自分はもう「怪物」である故に「名前などない」と叫ぶ。
ノーネイムに関してはマジで人それぞれの解釈が沢山あるし本来の解釈なんてわからんけど、とりあえずこれは私なりの解釈なので…というのをつけたしておきます。まじでしんどい


RED:糸川ノーネイム

結構糸川ノーネイムは感情が出るタイプ。冷静ではあるけれど言葉の端々に感情が滲んでいた印象です。
糸川ノーネイムは完全に牽制、これ以上踏み込むなという警告として非常に冷静な顔でペンを首に突き付けていました。糸川ノーネイムは特に松本ユジンを馬鹿にすることも無く、ただ興味がないといった様子。
きっともう諦めているんだろうなと。いくら自分が記憶をいじったところでマットはまた人を殺し、自分たちを救える人間などいない。マットが生きるためには自分が全て請け負い、コントロールしていくしかないと。

BLUE:小野塚ノーネイム
感情は表には出にくく、滔々と話す。とても冷静で感情の起伏が少ない印象。
ペンを首に突き付ける瞬間に小野塚ノーネイムはちょっと笑うんですよね、ユジンを馬鹿にするように。小野塚ノーネイムはこの子を救いたいと思い始めている丘山ユジンに対してそんなことお前ごときに出来るわけがないとおもっているように見えて。故に馬鹿にするような態度を取っているのは結局誰が何をしようと、マットのことを、自分たちのことを生かせるのは自分しかいないと考えているのかなと。



ジョアン>
故人18歳。マットシニアの姉であり、全ての元凶であると言っても過言ではない人物。REDとBLUEのジョアン像の違いにより全く別物の作品になったのでは?くらい全然違うジョアンだった。義父、マット、ジェイク、シンクレアと最低でも4人と身体の関係のあった彼女ですが、義父の所為で貞操観念が最初の段階でおかしくなってしまっていたんだな…って普通に女性として不憫でならないですよ。彼女の遺体からジェイクの精液が発見されたのも彼女の中での性行為が特別なものではなかったからなんでしょうね。だから別れる男であるジェイクとも、置いて行く弟のマットとも普通に身体を重ねてて…ハーー。
マットが「精液の話はやめるんだ!」というシーン、あれもマットの想定外の事だったからあの反応だったのかな…と個人的には思っていて。ジョアンはマットに「彼はあくまで表向きの人」と説明していたんですよね、だからまさか出てくるとは思ってなかったんでしょうね…。だって直前までしていたマットのものは中から出てきてないんですもん…そういう事よね…。

RED:伊波ジョア
常に年相応の女の子といった様子ですごくよかった。
ただ伊波ジョアンは正気を保ったままだったからこそ虐げられるシーンや、殺されるシーンがとても可哀そうで…。
幼少期のころはちゃんと幼く、18歳の時はきちんと少女であったと思う。なにより歌がスゲーーーー上手い。
伊波ジョアンは、糸川マットのことをきちんと家族として愛していて被害者同士対等な関係を築いていたなぁと思いましたね。義父からの虐待をマットに肩代わりさせるのも、仕方なくという雰囲気をまとっていたんですよね。マットに対しての罪悪感がきちんとあるのが、どうにも辛いところ。
彼女のボーイフレンドをとっかえひっかえな所に関しても、伊波ジョアンは求められることに弱いんだと感じました。男側から押されて押されて落ちちゃうタイプの女の子。
伊波ジョアンは歌の通りに「愛して、愛されたかった」ジョア

BLUE:山口ジョア
一方山口ジョアンはこの子はもう壊れているんだなと思えるジョアンだった。
伊波ジョアンとは逆に幼少期は大人びているのに、18歳の時は驚くほどに幼い。鈴のような澄んだ声がそういった雰囲気を醸し出すのに一役買っているように思いました。鈴のようにかわいく歌ったと思えばもう冷めたという表情を作りその場から立ち去る。もう正気じゃないんですよ山口ジョアンって。壊れてしまってる。

マットに虐待を肩代わりさせるシーン、伊波ジョアンはマットに懇願しているように見えるのですが山口ジョアンは口車に乗せて肩代わりさせているように見える。そしてマットに対しての罪悪感は全くないんですよね…なぜならば自分が生きていく為の手段それしかなかったから。ハーー。山口ジョアンこええんだ…。
強かな女というのが似合うジョアンだったなと思います。
山口ジョアンは「愛を求めていたけども自らは愛せない、愛し方を知らない」ジョア

 


<ユジン>
登場こそ推理小説家として登場するけれど実のところはオフィーリア殺人犯マットシニアの精神鑑定を依頼された精神学博士でした。
そしてマットの最後に寄り添ってくれた唯一の大人。
ユジン先生はREDとBLUEで年齢もアプローチも全然違くて面白かったですね。どっちのユジンがいいじゃなくて、糸川マットには松本ユジンが必要だったし、小野塚マットには丘山ユジンが必要だった。

RED:松本ユジン
熱い!とても!すごく人間味がある先生だったと思います。
作家先生としてのロールプレイにあまり重きを置いていないのかずっと熱い精神科医だった印象です。
松本ユジンは最初から救いたいという圧が強く、結構前のめりでしたね。
ノーネイムが語るマットの話のシーン、彼はずっと前のめりで拳を携えていて。最後の公聴会の部分ではっきりしたのですが松本ユジンの感情は「怒り」だったなぁと。義父、実母、ジョアン。そして見て見ぬふりをしてきた大人たち。マットを作り出してしまった世間すべてに対しての怒り。そしてせめて自分だけは
正直歌の部分がちょっと不安定だったのですが、それも含め堅物で正義漢な先生という感じでよかったです。
松本ユジンはどこか父性を感じるところがあってこんな父親がもし再婚してくれていたらなと…思える人でした。

BLUE:丘山ユジン
丘山ユジンは若さもユーモラスな所も含めマットの探していた「シンクレア・ゴードン」であるようなミスリードが観客側にできたところが非常に良かったですね。あと個人的に韓国版の方から、マットの事をあくまで患者として一線を引いていながらもどんどんとマットに感情移入していってしまう先生が好きなのですが丘山ユジンはまさにそれと言った感じですごく好みでした。
最初こそ仕事として接していたのですが、ウッディと対面したあたりから丘山ユジンはどんどん小野塚マットに入れ込んでしまっていて。それ故に最後、本当はそこにないはずのジョアンの遺体を自らのジャケットを掛けてマットの目の前から連れて行くといった行動に至ったのかな…と。
丘山ユジンはなによりもマットへの「哀れみ」が強く、涙を目いっぱいに溜めながらマットには救いの手が必要なんですと語る姿をみて、こんな人が幼少期にマットの近くに居てくれたらと叶わない願いを抱いてしまう位に優しい先生でした。





なっっっっっっっっっっっっが!!

自分でも長すぎて引いてんだけど!?お読みいただいた方はありがとうございます。
どうしてもBLUEに推しが出ていてBLUEばかり見ていたので比較といいつつもREDの感想が希薄になってしまったのが悔やまれるところです。


小野塚勇人さんのことを褒めるのも一緒にしようと思ったんですけど
文字数がとんでもないことになってたので一旦ここで締めます。

INTERVIEW日本語でこっちに持ってきてくれて本当にありがとう
感謝しかないです…。

また小野塚糸川マットに会いたいのはもちろんですが
違う方の演じるマットに会えることも楽しみにしてます。

再演…やりますよね?LDHさん!やらないなんて嘘でしょ?

ただeX品川はマジで三列目以降全然見えないので是非次やるときには
シアターウェストくらいの劇場でお願いしますマジでお願いだから。